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練馬区 新築のウソとホント

近い将来のドル不安の可能性を、どの程度真剣に考えるべきか。 古くて新しいテーマについて、九〇年代後半以降の国際資本移動と主要国経済やマーケットの動きを重ね合わせ考察したものである。
米国の経常赤字傾向が定着した七〇年代後半以降、大幅なドル安局面が何回かあったが、最終的にはドル危機に至らなかった。 ドルは国際取引において支配的な比重をもつ基軸通貨であるため、日欧など米国以外の国々はドル買いや金融緩和によってドルを支えざるを得なかった。
背景には、資本移動規制の撤廃、直接金融化やデリパティブの発達を受けて、国際資本移動が飛躍的に拡大したことがある。 これからも危機は回避され、ドルを基軸通貨とする仕組みと金融グローバリゼーションの流れが続くのか。
それとも危機は回避されたのではなく、より大きな歪みを蓄積しつつ先送りされてきたのであり、ドルの地位が揺らぐ可能性があるのか。 第5章では近い将来のドルの行方を四つのパターンに分類しているが、本書の立場はそのうち、第三、四番目の「ドルリスク」シナリオを採る。
金融危機の最中に開催された米下院公聴会(ニOO八年一O月二三日)で、グリーンスパン前FRB(米連邦準備制度理事会)議長は今回の事態が「一OO年に一度の金融津波」であり、「四O年以上にわたり市場が有効に機能していると信じてきただけに、衝撃を受けている」と述べた。 コアリパティプ(金融派生商品)の規制に反対してきたことは間違っていた面があった」ことを認めた。
O五1〇六年に米経常赤字が未曾有の規模に達しながらも、ドルの為替レ−トが安定的に推移し、長期金利の低下や資産価格高が続いた背景には、デリパティプによるリスクヘッジへの過信や金融機関の証券化商品への大規模な投資により、国際資本移動が急拡大したことがあった。 長期金利の低下を背景に住宅価格の上昇と好景気が続き、さらなる経常赤字の拡大をもたらした。
米経常赤字の異常な拡大はドルを中心とする国際金融システムが抱える問題を象徴する現象だった。 O七年央以降の金融危機とともに、「ドルリスク」が顕在化し始めている。
O九年前半は米景気悪化により経常赤字を縮小させる圧力が続き、ドルの下落懸念が残る。 その後は、主要国の政策協調の成否と中国など新興国の内需成長力の強弱により状況が変わろう。

ドルに代わる基軸通貨が存在しない以上、主要国が財政金融面で協調しながら為替の極端な変動を回避し、新興国の内需主導成長への転換によって経常収支を拡大均衡にもっていくしかない。 万一、政策協調が機能しない場合はドル危機を経て縮小均衡へ、新興国の停滞が続く場合は再び不均衡が拡大に向かう懸念がある。
二OO四〜二OO五年の世界経済は、中東・石油情勢が悪化しなければ回復傾向が続くとの予想が増えている。 ITバブルの崩壊や同時多発テロ、地政学的リスクの増大というショックを何とか乗り切ったという見方である。
今回の回復は、米国が歴史的にもめったにない徹底した金融緩和措置により家計の高消費・低貯蓄を支えたことと、減税、国防支出の大幅増という財政刺激を実施したことによる部分が大きい。 これにより米経済が立ち直って、さらに米国向けの輸出に牽引され、他国・地域の成長率も持ち直すという米国依存型の回復である長加速は米国経済とプッシュ政権の政策に密接に関連している)。
米国依存型回復の代償として、米国の「双子の赤字」が膨らんだ。 二十一世紀に入ってからのわずか三年ほどの聞に、財政赤字と経常赤字はいずれもGDP(国内総生産)比四〜五%という規模に急拡大した。
日欧やアジア経済が自立的拡大局面に入り、輸出を通じて米国を支えるという方向で、バランスが回復し始めたならばいい。 二OO四年央にかけてのデ−タを見る限り、米国の経常赤字は一層拡大しており、現実は逆になっている。

問題は見る角度によって違うだろう。 米国の外から眺めれば、米国がドルを印刷し、ばら撒きながら、自らの所得を越えた過剰な消費を続けているようにみえる。
一方、米国側から欧州、アジアなど新興国がそれぞれ構造問題を抱えており、そのために有効需要が不足して、放置すれば世界的に低成長が避けられない。 そこで米国が基軸通貨国の責任としてドルの信用が低下する危険を冒しつつ、経常赤字を出し、世界に有効需要を提供し、成長率を維持しているのだ、ということになり、どちらに責任があるにせよ、双子の赤字は、米国が国全体とその政府のレベルで収入を上回る支出を行うために借金を続けることを意味する。
米国(政府)といえども、無限に借り入れを続けるわけにはいかない。 今後、危機を招かずに双子の赤字を縮小に向かわせることができるのかが問われているのである。
グリーンスパン議長は、FRBが一九八O年以降の先進国を対象に行った研究結果を参考に、過去の平均値から見ると、経常赤字が五%を超えるあたりが警戒すべきゾーンであること、米国についても、ここにきてドルが途上国通貨を対象にした広義で一O%、主要国通貨に対しては二O%近く低下したことを指摘する。 これまでのところ、弱い通貨に伴う典型的な問題であるインフレは、現状も市場の先行き見通しも安定的に推移しているし、債券市場における信用度による利回り格差も縮小方向、株価もグローバルに上昇するなど大きな問題は見られていないとする。
米国の先行きには楽観すべき要素があると主張する。 世界的にみると外貨建て資産(つまり国境を超えた投融資)への需要がGDPや貿易よりも高い伸びを続けていること。
このため、国境を超えて資金が動きやすくなっており、経常赤字が大きくなっても金利差や為替がある程度変化すれば資金が入ってくる。 このため、以前ほど極端な金利・株価や為替の変動などの問題が起こりにくくなっているとする。
グリーンスパン議長は情報通信技術の進歩とグローバルな規制緩和が金融仲介手段を多様化させたことが、こうした変化をもたらしたと前向きに評価している。 第二に米国が特別な国であるということである。
先に触れたFRBの研究で対象となった各国は、大部分が海外からの借り入れを外貨(特にドル)で行っていた。 これに対して米ドルは「支配的な基軸通貨」(グリーンスパン議長)であり、自国通貨建てで借り入れができるため、米国が経常赤字をファイナンスする余地は他国・地域よりも大きいはずとしている。
賛否はともかく、グリーンスパン議長の論法で言えば、ここ数年の日本や中国のドル買い介入とそれに伴うドル債購入も、ドルを信用した「自発的」ドル投資ということになる。 グリーンスパン議長がこうした議論を心の底から信じているのか、金融市場やブッシュ政権への配慮から議論の内容をあえて楽観的なものとしているのかは不明だが、こうした分析に基づいて、散見される保護主義的な傾向を抑え、モノ、ヵネ、ヒトの移動性や市場中心の価格決定など経済の柔軟性を高め、グロ〜パライゼ|ションを推進していけば、米国の経常赤字を大きな混乱なしに縮小ないしは安定化させられるはずと主張している。
一方バフェット氏は、フォ−チュン誌に対する独占インタビューで、七二年の人生において一度も行ったことのなかった外貨への投資を二OO二年春以降始めたことを明らかにした。

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